乗って残そう。
最近、「乗って残そう。」の幟がとある鉄道路線の沿線の至る所に立てられるようになりました。 近鉄内部・八王子線です。
近鉄内部・八王子線は、近鉄四日市駅から内部駅までの5.7㎞を結ぶ内部線と、途中の日永駅から西日野駅までの1.3㎞を結ぶ八王子線の2路線の総称で、軌間(レール幅)762㎜の特殊狭軌路線です。特殊狭軌路線は、旅客輸送を行う鉄道としては、内部・八王子線以外には、桑名市等を走る三岐鉄道北勢線と富山の黒部峡谷鉄道くらいしかなく、我が国でも貴重な存在となっています。 内部・八王子線の開業は今から101年前の1912年で、その当時は蒸気機関車が走っていたようです。それ以来、地域住民の足として親しまれてきましたが、昨年近鉄が正式にBRT(バス専用道によるバス運行)への転換を表明して以来、廃止問題が取り沙汰されています。 廃止の理由は赤字で、近鉄によれば、年間3億円の赤字が出ているとのこと。乗客数も平成23年度は昭和45年度の半分にまで減少したとのことで、これ以上の収支改善も見込めないとのことです。
鉄道ファンである私の個人的な想いとしては、このような貴重な路線は廃止して欲しくはないのですが、だからといって、財源の問題は避けて通れないところです。鉄道事業者も企業である以上、不採算路線の廃止を検討することは当然ともいえ、公共性というワードを鉄道事業者ばかりに押しつけるべきではないようにも思います。公共性という点からいえば、市が赤字を補填するのも案の1つでしょうが、利用者の減少に歯止めがかからないのであれば、財源にも限りがある以上、短いスパンではそのような策を採り得たとしても、おそらく長くは続かないでしょう。 結局、財源を鉄道事業者が負担するのであれ自治体が負担するのであれ、鉄道を残そうとするのであれば、基本的に利用者を増やすしかないように思います。内部・八王子線は、住宅地の中を走っており、沿線に特段の観光地があるわけではありません。そうすると、内部・八王子線が廃止されるか否かは、結局、私たち地域住民にかかっているのではないかと思います。まさに、「乗って残そう。」でしょう。